散在が池
散策:2003年04月下旬
【里山散歩】 散在が池
概 要 鎌倉のハイキングコースとして人気のある天園の丘陵。 散在が池(さんざがいけ)は、建長寺へと続くコース北側にあるこんもりとした森の中に佇んでいます。 通称、鎌倉湖ともいい、雑木林に囲まれた静かな湖です。
起 点 鎌倉市 今泉不動バス停
終 点 鎌倉市 今泉不動バス停
ルート 今泉不動バス停…散在が池森林公園…散在が池…のんびり小径…パノラマの小経…馬の背の小経…せせらぎの小経…今泉不動バス停
所要時間 1時間30分
歩いて... 散在が池を取り巻く小経をゆっくり歩いても1時間半ほどで一周できる短いコースですが、 雑木林やせせらぎなどの豊かな自然に出会うことができます。
関連メモ 今泉の森, 散在が池
コース紹介
今泉不動(いまいずみふどう)バス停
大船駅(JR東海道線)から、鎌倉湖畔循環バスにて13分、1時間に6本程度の便があります。
今泉不動バス停から散在が池森林公園を巡り、再び今泉不動バス停に戻ってきます。
散在が池森林公園
バス停の前方にあるT字路を右へ曲がり、 砂押川に架かる不動橋を渡ってバス道路を少し登っていくと、 散在が池森林公園の北側入口があります。
利用時間 午前8時30分から午後5時まで
休園日  12月29日から1月3日まで
 (鎌倉市公園緑地課)
みなさんこんにちは
散在が池森林公園にようこそ。 この森林公園はみなさんの憩いの森として、また鎌倉の自然のしくみを理解する場所として、 整備したものです。散在が池を中心に東西に広がるこの公園は、小面積ながら、 起伏にとんだ地形と静かな森、そして四季折々に姿をかえる自然のさまは、 都会の生活に疲れた心を、きっと癒してくれることと思います。 市と県では、この残された貴重な森の利用を図ると同時に、未来の子供達に残したいと考え、 荒廃した林地などへ植栽を行うとともに、みなさんが安心して利用できる必要最小限の 施設を整備しました。 都市化が進んでいく中で残された貴重な森を、大切に守っていけるよう、 みなさんのご協力をお願いいたします。 それでは、この自然と心静かに心ゆくまで語り合ってください。
 (鎌倉市)
あしたくる友達のためにも次のことを守りましょう
この森林公園には、約900種の植物による様々な森の姿が見られ、 約50種の鳥類や若干の魚類、は虫類、両生類、その他多数の昆虫などが 生息しています。これらは相互に影響し合いながら自然を作っています。 利用されるみなさんは、この自然のしくみを壊さないよう、 次のことを守ってご利用ください。
禁止されている行為
一、竹や木草などの植物を採ったり、切ったり、傷つけたりすること。
二、土地の形質を変えたり、土石を採取すること。
三、施設を汚したり、壊したりすること。
四、魚、鳥等を捕ったり、傷つけたりすること。
五、立札、張紙、広告等を行うこと。
六、立入禁止区域への立入をすること。
七、キャンプを行うこと。
八、管理用車両以外の車両(車椅子、乳母車を除く)を乗り入れること。
九、その他公演を用途以外に使ったり、管理に支障を与えること。
十、その他の禁止されていること。
  ・夜は木も鳥もみんな眠ります。自然のリズムに従って夜間の利用は禁止します。
  ・誰でもゴミは見たくありません。ゴミは持ち帰るか、出口のゴミ箱に捨ててください。
許可を必要とする行為
一、業として写真又は、映画を撮影すること。
二、露店商、行商又は、募金などに類する行為を行うこと。
三、花火等火気を使用すること。
その他守ること
管理事務所職員の指導や注意されたことは必ず守って、快適な利用を心がけてください。 なお、これらのことに違反したり、守ってもらえない場合は、法律により処罰されたり、 園内の利用を禁止することがあります。
公園入口からは、雑木林の中のよく整備された道を降っていきます。 園内の散策路には、各所に解説板が設置され、自然を学びながらの散策ができます。
解説【木材を生産する森】
ここは、家などの建築材料である木材を生産する目的で植えられたスギ、ヒノキの 人工林(植林地)です。この林ができあがるまでには、人間による大変な努力が 費やされています。その一端をお知らせしましょう。
  ・植林(苗木を植えること)
  ・下草刈(植林後5〜6年間)
  ・枝打(下枝を切る。4年毎に1回)
  ・除伐(植林木以外の木や蔓を除去する。植林後7〜15年の間)
  ・間伐(植林木のうち生長の悪い木や障害木を除去する。
   植林後15年以上経過したのち必要な都度)
そして、私たちの目の前にあるようなスギ、ヒノキの林ができあがりました。 私たちが何気なく目にしている家の柱も、このような多くの時間と山に働く人たちの たゆまない努力によって生産されたものなのです。
5分ほど降っていくと、散在が池の畔に着きます。
ベンチがいくつか置いてあり、休憩するのにいい所です。 弁当を食べたり休憩したりしている人を何人も見かけました。
解説【マムシに噛まれたら】
園内には広い範囲にわたり、マムシが生息しています。 マムシは本来おとなしい動物で、自分からすすんで人に噛みつくことはありません。 しかし、踏まれたり、驚かされたり、構われたりしたときには、 噛むことがあります。ですから、決められた場所以外には絶対に立ち入らないよう、 また見つけても構わないようにしてください。 マムシに噛まれたら、すぐにでも死んでしまうように恐れる人がいますが、 適切な手当てをすれば死ぬようなことはありません。 もし噛まれたら、
・まず落ち着くこと。
・噛んだ蛇が本当にマムシかどうか確認すること。
 (マムシでしたら毒牙の跡が二つ並び、激しい痛みが次第にひどくなり、腫れ上がってきます)
・傷口より心臓に近い部分を縛って血液の流れを止めます。
 (余りきつく縛らず時々ゆるめて血をかよわせます)
・傷口から毒を吸い出します。
 (口の中に虫歯や傷等がある人はやってはいけません)
・近くにいる人に助けを求めること。
・管理事務所に知らせるとともに、なるべく安静の状態を保ち、
 一刻も早く血清のある病院に運びます。
 (普通2〜3日で全快します)
散在が池
散在が池は、雑木の深い森に囲まれたひっそりとした所です。 池の中には、紅い錦鯉が何匹も泳いでいました。
管理事務所
散在が池森林公園管理事務所は、次のような仕事を行っています。 質問等がありましたらお訪ねください。
1.園内の施設や動植物などを保護すること。
2.園の運営を行うこと。
3.入園者に園の説明や利用上の指導などを行うこと。
4.利用者を保護すること。
のんびり小径
池の東側には、狭い山道の「のんびり小径」が続いています。 斜面から張り出すようにして木道が通っている所もあります。
解説【蔓(つる)植物】
普通、植物は大地に根を張り、茎を伸ばし、枝や葉を広げ、直立して生活しています。 ところが植物の中には自分自身の茎では直立することができないで、 他の植物などにまつわりついてよじ登っていくものがあります。 これを蔓(つる)植物といっています。 蔓植物は、一般によく日の当たる林の縁や光の差し込んだ林の中に生えます。 そして、林の中に直接風や光が入り込まないように林を守っている(マント群)といわれています。 しかし、蔓植物も余り沢山茂ってしまうと、蔓に覆いかぶさられた木の生長を妨げたり、 ついには枯らしてしまうことがあります。このように蔓植物は林を守る働きと同時に 巻き付いた植物を枯らしてしまうという相反する性質があります。 園内で見られる蔓植物には次のようなものがあります。
クズ、ヤブガラシ、カナムグラ、カラスウリ、ヘクソカズラ、スイカズラ、オニドコロ、 アケビ、ヤマイモ、サルトリバラ、エビヅル、ノブドウ、ツルグミ、クマヤナギ、キヅタ、 テイカカズラ、ノタビカズラ、サネカズラ、サルナシ、フジなどです。
これらの蔓植物が他の草や木に取り付く方法には、葉や茎で巻き付くもの、 又はトゲを引っ掛けたり、根を付着させてよじ登ったりなどの特徴をそれぞれ持っています。 観察してみませんか。
木々の間から、散在が池の湖面が見え隠れしています。
解説【園内の植生】
ここでは、植生図によって園内の植生の広がりを見てみましょう。 植生図とは主な木や草をもとに、その広がりを地図上に表したものです。
ヤブコウジ−スダジイ群集
この群集は、スダジイ、アラカシ、シロダモなどを構成種にもつ自然植生で、 園内では尾根などの乾燥地に局所的に見られます。 (構成種は26〜47種です)
ミツデウラボシ−イワタバコ群集
この群集は、陰湿な崖地に比較的多く生育する草木です。 マルバウツギ、コモチシダ、ウツギ、タマアジサイなどを構成種にもつ自然植生で、 園内では、せせらぎの歩道沿いの崖地に見られます。 (構成種は8〜10種です)
オニシバリ−コナラ群集
この群集は、コナラ、オオシマザクラ、コバノドネリコ、イヌシデなどを 構成種にもつ代償植生で、園内では尾根から中腹にかけて広く分布しています。 (構成種は38〜80種です)
スギの植林群集
この植林は谷沿いから中腹にかけて見られます。 林齢は30〜60年生で、低木層や草木層は一般によく発達しています。 この群落の自然植生は、イノデ、リョウメンシダなどが見られることから、 イノデ−タブ群集に相当すると考えられます。
新緑を渡ってくる風が爽やかさを運んできます。
解説【ジョロウグモをめぐって】
この辺りではジョロウグモがよく巣をはっています。 これは花を訪れる昆虫をとらえようとしているのです。 でもクモたちも鳥のエサになります。 このように生物は食べたり、食べられたりする関係を持っていて、 この一連の関係を食物連鎖とよんでいます。 これは一見残酷なようですが、決してそうではありません。 昆虫の卵が全部親になることを繰り返したら、またたく間に膨大な数になり、 エサを食べつくし、その種類は滅びてしまうでしょう。 しかし実際にはそんなことはありません。昆虫がたくさんの卵を生んでも、 卵や幼虫は大部分がクモや鳥のエサとなり、成虫になるのはほんの一部分にすぎません。 このように自然界では、生物同士が食べたり食べられたりして、 お互いの数のバランスを保っているのです。 時々昆虫類などの大発生が起こっていますが、それは大抵人間社会に近い所です。 天敵(捕食者)がいろいろな社会的影響などで住めなくなったり、 減ってしまったりしていることが多いからです。
池の南側までくると、道が少し広くなってきます。 梢からは小鳥のさえずりが聞こえてきます。
解説【園内の鳥たち】
散在が池森林公園には、シイ、コナラ、ミズキなどの林や、湿地、沼、池、草原といった 鳥たちにとってそれぞれ違った形の住む場所があります。 しかし、それぞれの面積は小さく、鳥たちにすれば住みにくい場所かもしれません。 それでも70種ほどの鳥たちがやってきます。主なものを紹介しましょう。
留鳥 ウグイス、エナガ、オナガ、カケス、カワセミ、コカワラヒワ、キジバト、キセキレイ、 コゲラ、コジュケイ、シジュウカラ、スズメ、セッカ、トビ、ハシブトガラス、ヒバリ、 ヒヨドリ、フクロウ、ホウジロ、ムクドリ、メジロ、モズ
夏鳥 アオガズク、オオルリ、コサメビタキ、コシアカツバメ、サンコウチョウ、セグロセキレイ、 ツバメ、ホトトギス
冬鳥 アオジ、アカハラ、エゾビタキ、カシラダカ、カルガモ、カイツブル、クロジ、 ゴイサギ、コガモ、コサギ、コチドリ、シメ、シロハラ、ジョウビタキ、タヒバリ、 ツグミ、トラツグミ、ハクセキレイ、ビンズイ、マヒワ、ルリビタキ
こうしてみると、実にたくさんの鳥がこの森を利用しているものですね。 しかし、これらの鳥が一年中園内にいるかといえばそうではありません。 季節によってこの森を利用する鳥に違いがあります。 身近に見られる鳥から一つ一つ観察してみませんか。 そして私たちの努力でもっと多くの鳥が、この森を利用してくれるようになれば 楽しいと思いませんか。
パノラマの小経
木道を登っていくと、「パノラマの小径」があります。 頂上からの見晴らしはありますが、民家が続いているばかりで趣はありません。
解説【自然林の復元をめぐって】
みなさんの目の前に広がる植栽地を含めて、園内には同じような大きい植栽地が9か所あります。 これらの植栽地は、その多くが法面(のりめん)と呼ばれる、木の一本も生えていない土地でした。 これらの法面は、宅地の造成など開発を行ったときにできたもので、 植物の生育に必要な養分がない、やせた土地でした。 このような土地が、再び元の森林の姿にもどるためには、百年以上も待たなければ、私たちが 目にすることはできません。 植栽地は、このように長い年月を必要とする自然林の回復への道を、短期間に復元しようとして、 植栽が行われたものです。 植栽木は、鎌倉の自然林を構成している木や、二次林と呼ばれる雑木、また土地への栄養分を 供給する肥料木などが、66種約3万本が植えられています。 10年から15年後には、立派な自然林をみなさんが目にすることができるよう、 大切に育てていきたいと思っています。 一度壊すとその回復まで大変な長い年月を必要とするこの自然を、 みなさんも壊さないよう大切にしてください。
馬の背の小経
池の西側には、尾根道の「馬の背の小経」が続いています。
解説【森の移り変わり(1)】
森林を人手の加わらない自然の状態にしておいた場合、 森林は時間とともに構成する植物が変わり、ついにはある限定された植物による 安定した林となります。この状態を極相林といっています。 鎌倉では、暖帯林特有の常緑広葉樹林がこれに当たりますが、 気象、地形、土壌などの条件によって、構成する樹種に違いがみられます。 海岸線から市街地にかけての平地や谷筋ではタブノキ林が、 鎌倉山や今泉、源氏山辺りの乾燥した台地斜面ではスダジイ林が、 そして大船以北にかけても内陸部ではシラカシ林が鎌倉の極相林といれるでしょう。 みなさんの目の前にみられるシダジイのうっそうとした林は、この辺りの極相林として、 永い時間生長していくことでしょう。
解説【森の移り変わり(2)】
ここでは、木が切られてから自然林に帰るまでの過程を考えてみましょう。
(1) 木が切られた跡は、まもなくススキ草原になります。 そのうちにクズやノイバラ、ヌルデなどの陽樹も生えてくるようになります。
(2) ヌルデ、キブシ、カラスザンショウなどの低木林は、やがてコナラ、クヌギ、ヤマザクラなどの 落葉樹の高木の林になり、アラカシ、タブ、シロダモ、アオキなどの常緑の幼樹もみられるようになります。
(3) コナラ、クヌギなどの落葉高木(二次林)の間にみられたアラカシ、タブ、シロダモなどの 常緑高木も育ってきて、やがてその幼樹も多くみられるようになります。 そしてその林床はアズマネザサで覆われるようになります。
この辺りには、スダジイ、アラカシなどの常緑樹の林が見られます。 このような林ができるのには約150年以上の年月がかかります。 さらに1000年以上たつと、スダジイの林になるといわれ、 このスダジイの林は特別のことがない限りいつまでも変ることはありません。 このような状態の林を極相林(クライマックス)と呼んでいます。
小さなアップダウンを繰り返しながら、次第に散在が池へと降っていきます。
解説【落ち葉のゆくえ】
毎年秋になると木の葉が落ちます。あのたくさんの落ち葉はどうなったのでしょうか。 落ち葉の積もっている所を上から順にめくっていくと、葉が湿ってボロボロになり、 落ち葉は腐って土の中の養分となり、植物が生長するのに使われているため、 落ち葉で山が埋まることがないのです。 それでは、このように落ち葉を腐らせるのは一体何なのでしょう。 腐りかかった落ち葉を観察してみてください。 ミミズ、ワラジムシ、ササラダニ、トビムシ、それにカビもありますね。 こういった土の中に棲む生き物が、植物の養分となるくらいまで細かく分解しているのです。 昔は、落ち葉やゴミや人畜のフンは、堆肥などの肥料として利用し、 土に戻していましたが、今のゴミは、プラスチックやガラス、カンなど肥料にもならず、 腐りもしないものが多くなり、その処理に困っています。 ものが腐るということは、大変大事なことなのです。
しっかりとして歩きやすい尾根道が続きます。
解説【森の冬じたく】
10月のはじめは衣がえの季節です。 野や山の木々も人間と同じように冬の遥か前のそれぞれ定まった時期に、厳しい冬を越す準備をしています。 いろいろな準備のうちで、冬芽をつくることは、木々にとってたいへん重要な仕事です。 大抵の木は、夏の終わりか、遅くても秋の初め頃までには冬芽をつくり終えて、 やがて来る春を待っています。 まだ冬の気配の遠いこの時期に、どうして訪れる寒い冬のことを知ることができるのでしょうか。 それは植物が夜と昼の長さの違い(日長)を敏感に感じとる能力を持っているからなのです。
冬芽の仲間たち
・主芽(春に伸びようとしている茎となる芽)
・副芽(主芽が虫や鳥などに食べられ、伸びることができないときに、ピンチヒッターとして伸びる芽)
・花芽(春早く花を咲かせる植物で、丸くて大きな花をつける芽)
・葉芽(花芽より小さくて細長い葉になる芽)
解説【陽樹と陰樹】
木には陽樹と陰樹があります。陽樹とは大きくなるために強い陽光を必要とする木で、 陰樹とは非常に弱い陽光のもとで大きくなることができる木です。 植物は【裸地→一年生草の草原→多年草の草原→陽樹の低木林→陽樹の高木林→陰樹の高木林】 というように移りかわっていきますが、このように木によって求める陽光の量が違うことが、 植物の移りかわりの主な理由です。
園内の陽樹で代表的なもの
 コナラ、クヌギ、エゴノキ、サクラ類、キブシ、ウツギ類、スギ、マツなどがあります。
また、陰樹で代表的なもの
 シイ類、タブノキ、クスノキ、カシ類、シロダモ、ヤブニッケイ、アオキなどがあります。
馬の背の小経には、所々にベンチが設置されています。 ちょっと腰をかけて、周りの樹木や小鳥たちに目を向けてみましょう。
解説【雑木林の成り立ち】
雑木林とはクヌギ、コナラ、ヤマザクラ、クリ、エゴノキ、イヌシデなどの落葉広葉樹を 主体とした林のことで、植物生態学的には代償植生のひとつで二次林ともいいます。 雑木林は、昔、薪や炭などの燃料や、堆肥用の落ち葉をとるなど、 人間生活にはなくてはならない林でした。 そのため、林の中にはたえず人手が加わっていました。 しかし、今では燃料革命により、薪や炭やほとんど使われなくなり、 雑木林には人手が入らなくなって、元の自然の林へと変わりつつあります。 林の中に常緑樹の芽生えが見られるのも、自然林へと植生が移っていく途中の段階だからなのです。 (植生遷移といいます) このまま放っておけば、この雑木林も数百年後には、タブノキやスダジイ、アラカシなどの 常緑樹の林(自然林)に変っていくことでしょう。
樹木の間から湖面が見えてくると、散在が池の畔はもうすぐです。
解説【強い虫と弱い虫】
蜜の沢山ある花や甘い樹液の出る植物には、沢山の昆虫が競って集まります。 そのでは強いものが良い場所を占め、弱いものはそこから追い出されます。 このように昆虫が集まるところには、その占める場所に順位ができます。 こんな小さな昆虫の社会にも野生の世界があるのです。 園内にもこのように昆虫が好む木(クヌギ、コナラ、ヤシャブシ、ハンノキ、スダジイなど)が 沢山あります。これらの木のうち、樹液の出ている木を見つけて、そこに集まっている 昆虫を観察してください。昆虫が集まってきたら、昆虫同士で争いをしないか、 勝った昆虫、負けた昆虫を記録して、強いものから順位をつけてみましょう。 こうすると、一番早くやってくるもの、次に集まってくるもの、また、 昆虫の世界での強いもの、弱いものなどがよく分かります。 また、樹液の出ている木などがないときは、蜜にお酒を加えたものを木に塗っておけば、 昆虫は集まってきます。
解説【耳をすませてみよう】
ここでは、園内の代表的な野鳥と鳴き声を紹介しましょう。
【地鳴き】年中鳴いている地味な声
【さえずり】メスを呼び寄せたり縄張りを示すため鳴くよい声
鳥名地鳴き(鳥の言葉)さえずり(鳥の歌)
コジュケイクッ、クッ、クッチョットコイ、チョットコイ
キジバトグルル・・・デデッポッポー、デデッポッポー
カケスジェーイッ、ジェーイッ
サンコウチョウギッ、ギッツキヒホシ、ホイホイホイ
エナガジュリリリ・・・ツィシシシ・・・ツリリリ
シジュウカラチッ、チッ、ジュクジュクツツピー、ツツピー
キセキレイチチチッチチン、チチン
コカワラヒワキリリ、コロロチュン、チュン、ビーッ
オオルリジジッ、ジジッホイヒーピピ、ヒリリ
メジロチィーチー長兵衛、長兵衛、長兵衛
ウグイスチャッ、チャッホーホケキョ、ケキョケキョ
ヒバリビルルッ、ビルルッピーチク、ピーチュク
カワセミチーッ、チーッ
モズキチ、キチ、キチキィー、キィー
コゲラギー、キキキキギィー、ギィー
ホオジロチチッ、チチッ一筆啓上仕り候
ルリビタキヒッ、ヒッキョロ、キョロ、キョロリ
散在が池のいわれ
江戸、明治の時代、今の大船、岩瀬の一帯は、大船千石という大水田が広がっていました。 しかし、その水田に必要な水は近くの砂押川だけしかなく、 雨の少ない年など水争いが多くあったようです。 明治2年、小菅谷村の名主、梅沢与次右衛門という人が、耕地用水の確保のため、 岩瀬村の栗田源左衛門と話し合い、当時、参勤交代などで江戸にのぼる大名の馬の 草刈場として、今泉、岩瀬、大船の3か村に分散開放されていた称名寺の山(入会林)の谷あいに、 土俵などで堰をつくり水をためたのが、散在が池です。 散在が池という名は、3か村の持山がこの辺りに分散して在ったため名づけられたものです。 また、当時の池は非常に小さく、その後も水争いが絶えなかったため、 昭和に入って、大船、岩瀬の水利組合が改めて造り直したものです。 なお、この池は当時から湧水が多く、中心辺りは急に深くなっているため、 昔から子供の水死事故が多く、近くの部落では「神次の話」という悲話をつくって、 子供たちがこの池に近づかないようにしていたそうです。
せせらぎの小経
散在が池から谷筋へ降りていくと、せせらぎの側には大きな崖が切り立っています。
解説【雨と森林】
森林に降り注いだ雨は、一旦木の葉や枝に受け止められてから、ゆっくり地面に落ちてきます。 また、森林の中の土は、スポンジのように柔らかくて、水を含みやすい状態になっています。 これは木の葉が厚く積もっているのと、ミミズやトビ虫などの土の中に棲んでいる昆虫たちが、 土と腐りかけた落ち葉を混ぜ合わせ、畑を耕したのと同じようにしているからです。 地面に届いた雨は、こうして土にしみ込む量が多く、少しずつしみだすので、 一度に流れ出してしまうことはありません。 ですから、森林があると、その下流の川では洪水になることが少なく、 また、長い間、雨が降らなくても、水が涸れることもありません。 また、森林は気温を和らげ、風や音を防ぎ、酸素を生産したり、動物たちの棲みかとなったり、 私たちの心を和ませ、楽しませてくれるなどの働きをしています。
ヒンヤリとした谷筋には木道が続いています。
谷筋が終わって山道を少し登ると、公園の入口に戻ります。
解説【池沼の植物】
地球上には水分条件をめぐって植物にとってはいろいろと異質な環境が存在しています。 乾燥の甚だしい砂漠地帯から、植物の生育に充分な水が存在する湿潤地帯、 そして淡水域や海水域も広く分布しています。 日本に生育する淡水域の水生植物は、約百種余りで、生育方法は左の図のように、 水深に応じて帯状に棲み分けていることが古くから知られていました。 水生植物は陸生植物に比較すると遥かに広い生態領域にわたって分布しています。 例えば、ヨシ、ガマなどはユーラシア大陸や南北のアメリカ大陸にも分布しています。 このように広範な自然分布が考えられるのは、第一に水域が陸上に比較して環境の変化が 穏やかなこと、第二に水鳥、特にカモ類が種を飲み込んだり体に付着させて運んだりするという 遠距離分布に適した分布のシステムを持っていることがあげられるでしょう。 あなたの目の前であるヨシ、ガマなどは、もしかするとアメリカやヨーロッパから 運ばれてきたものかも知れません。
今泉不動(いまいずみふどう)バス停
大船駅(JR東海道線)まで、鎌倉湖畔循環バスにて22分、 1時間に5本から6本程度の便があります。
循環バスのため、来た時と同じ方向のバスに乗車します。 (逆方向のバス停はありません)