十国峠
散策:2003年04月上旬
【低山ハイク】 十国峠
概 要 十国峠は伊豆半島の首にあたる部分にあり、富士山をはじめとして十国が見渡せる展望のすばらいい所です。 東光寺までの「石仏の道」は広くて緩やかな道で、素晴らしい景色を眺めながらの尾根歩きが楽しめます。 各所には石仏が立って、行き交うハイカーたちを導いてくれます。
起 点 熱海市 西山バス停
終 点 湯河原町 落合橋バス停
ルート 西山バス停…笹の広場…岩戸山…湯河原分岐…東光寺…姫の沢公園…十国峠…落合橋バス停
所要時間 4時間40分
歩いて... 十国峠や岩戸山からは素晴らしい展望が得られます。 笹の広場までは、広くて快適な尾根歩きができます。 道々には石仏たちが立ち、ハイカーを導いてくれます。
関連メモ 岩戸山
コース紹介
西山(にしやま)バス停
熱海駅(JR東海道線)から、笹良ヶ台団地循環バスにて25分、 1時間に2本程度の便があります。
バス停のすぐ先に「石仏の道案内図」があるので参考にしましょう。 ここから東光寺まではこの石仏の道(全長2,700m)を登っていきます。
石仏の道の由来
古来、熱海村のはずれにあるこの地は、地蔵堂があり四面塔と呼ばれていた。 左に「みしまみち」、右に「ひがねみち」(現存)の石標があり、東光寺への参道の 入口でもあった。(現在は明水神社に石塔が移転されている) 天明2年(1782)、名主今井半太夫が亡くなった子息の菩提を弔うため、ここに石仏を寄進した。 その台石には、熱海村の中心よりここまで十町、ここから日金まで四十町とある。 これ以降、村長渡辺房求の呼びかけで、日金山東光寺まで四十町の参道に1町目毎に 順次石仏が寄進された。 寄進者は主として熱海の名家や江戸の商人などが多い。 昔から伊豆・相模・駿河の人は、死者の霊魂は必ず日金に昇るといわれ「日金山の奥に は地獄がある、亡者の魂は皆ここに集まる」と信仰され、春秋の彼岸にはここに大勢の人が参詣した。
「石仏の道起点」の道標がある小さな神社です。 ここから、コンクリートで固められた小川の横の急な舗装道路を登っていきます。
循環バスで通ってきたバス停を2つ過ぎて行きます。 笹良ヶ台団地上バス停の先にある道標に従い、山道を登って行きます。 登り始めは道幅が狭いのですが、すぐに広くなります。
各所に「・・町目」と書かれた台座に乗った石仏があります。 登山では全歩程を10に分け、一合目から十合目という道標をよく見かけますが、 この「・・町目」というのはそういう区分ではないようです。 西山から東光寺まで、全部で42町目まであるので、 平均すると約63m(2700÷43)の間隔ということになります。
山道を15分ほど行くと、舗装道路に出ます。 案内板に従い左へ2分ほど進んで行くと、「日金山ハイキングコース 石仏の道 登り口」の案内板があります。 そこから山道を登っていきます。
伊豆山風致地区 熱海国際環境温泉文化都市建設計画
この付近一帯は都市計画法により定められた風致地区です。 次に掲げる行為をしようとするときは、予め知事の許可を受けなければなりません。
(1)建築物その他の工作物の新築、改築、増築又は移転。
(2)宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更。
(3)木竹の伐採。
(4)土石の類の採取。
(5)水面の埋立又は干拓。
(6)建築物等の色彩の変更。
 (静岡県・熱海市)
山道をしばらく行くと、展望が開けたところがあります。 眼下には熱海の街や相模湾が見渡せます。
案内板の所から10分ほどで、広い道が続く尾根にでます。 各所には石仏が立っていて、「ガンバレ」と励ましているようです。
やがて姫の沢公園への分岐を示す道標があり、そばには東屋もあります。 ここから東光寺まで55分、岩戸山への分岐までは40分となっていますが、 もう少し早く着きます。
道幅が次第に広くなります。 傾斜もそれほど急ではないので息が切れることもなく、快適な尾根歩きが続きます。 道の脇には石仏が点々と続いています。
振り返ると、相模湾や伊豆の山々が一望できます。
笹の広場
短い木道を登ると笹の広場に着きます。 すばらしい景色を見ながら、弁当を広げての休憩にいい所です。 広場の一番奥に、岩戸山への分岐があります。
笹の広場から岩戸山まで、尾根道を往復します。 笹竹に覆われて狭いですが、ほとんど起伏のない歩きやすい道が続きます。 1時間程度で往復できます。
所々視界が開けていて、富士山が綺麗に見えます。 雑木林を過ぎると「岩戸山山頂近道」の道標があるので、 それに従って少し登ると岩戸山に着きます。
岩戸山 (標高734m)
岩戸山には山頂の標識とテーブルが一つ設置されています。 山頂は狭いですが、相模湾や伊豆の山々が一望できます。
岩戸山からの展望を堪能して、一旦笹の広場まで戻ります。 広場からは、正面の山道を進んでいきます。
湯河原分岐
笹の広場から5分ほどで、湯河原分岐に着きます。 ここを右へ降っていくと落合橋ですが、先ずは直進して東光寺を目指します。
最後の四十二丁目の石仏を過ぎると、すぐに東光寺に着きます。
東光寺
日金山東光寺の由来
応神天皇2年(271)伊豆山の浜辺に、光る不思議な鏡が現われました。 鏡は波間を飛び交っていましたが、やがて、西の峰にとんでいきました。 その様子は日輪のようで、峰は火を噴き上げているように見えたので、 日が峰と呼ばれ、やがて、日金山と呼ぶようになりました。 同4年(273)松葉仙人が、この光る不思議な鏡をあがめ、小さな祠を建てて 祀ったのが、開山と伝えられています。 推古天皇の頃(594)走湯権現の神号を賜り、その後、仁明天皇の承和3年(838) 甲斐国の僧、賢安が、日金山本宮から神霊を現在の伊豆山神社のある地に 移したと言われています。 鎌倉時代は、源頼朝の篤い信仰に支えられ、現在本尊として祀られている延命地蔵菩薩像も、 頼朝公の建立によるものです。 地蔵菩薩は、地獄に其の身を置いて、地獄で苦しむ者を救ってくれる仏であることから、 死者の霊の集まる霊山として、篤い信仰があり、今も尚、春秋の彼岸には多くの 人が登山して、新仏や先祖供養のために、卒塔婆供養をしています。
おねがい地蔵堂
おねがい地蔵尊は何でも願いをかなへてくださいます。 願いが成就する様に祈りをこめて此の御堂に納めて下さい。
日金の鬼伝説
日金の山に鬼がいる・・・昔から、伊豆地方の死者の霊魂は、みな日金山に集ま るといい伝えられ、春秋の彼岸に日金山に登ると、通行人の中に、会いたい人 の後ろ姿を見ることができると言われてきました。そして日金のどこかに地獄、 極楽があると信じられているのです。 天正10年12月、朝比奈弥太郎が、家康の命をうけ韮山の北条氏規を訪ねる ため、十国峠を越え日金の山を降る途中、六尺豊かな大男に出会い、その男が 亡者を迎える鬼であったという話が伝えられたものです。
日金の伝三仙人塚
日金地蔵堂の裏山の(この奥約50メートル)に木生仙人、並びに金地仙人を 供養する市内で日金山・東光寺の開祖創を伝える松葉仙人、最も古い宝篋印塔の 三基が塚上に立っている。 中央の塔が松葉、右側が金地、左側が木生の各仙人墳である。 松葉仙人古墳塔の基礎部に「建武三 9月5日 沙弥口阿弥陀仏」、追補の塔身の裏に 「文化十 仲冬14日 不退金剛周道 再修拝誌」の刻銘がある。 古くからこの丘陵一帯は山林修行の場であった。
 (熱海市教育委員会)
東光寺から十国峠までは舗装された道が続きます。 道の脇に、石地蔵は東光寺ゆかりのお地蔵さまです。 半円に並んで立つお地蔵さまは、顔立ちもはっきりしないほど擦り減っていますが、 歴史ある古道の風格が感じられます。
姫の沢公園
舗装道路を登り詰めると姫の沢公園の入口です。 十国峠から丘陵地にかけての広い公園です。 ここの展望所からは、360度の大パノラマが広がります。
右大臣実朝の歌碑
箱根路をわが越えくれば伊豆の海や沖の小島に波の寄る見ゆ
詩歌を愛した将軍源実朝は、この峠をいくたびも越えています。 二所詣でのために鎌倉から箱根権現に詣でるためです。 この歌は22才のときに詠まれたといわれています。 (二所とは伊豆山権現、箱根権現のこと) この歌碑は昭和8年熱海に在住の藤原銀次郎氏が私財を投じて 建立したものである。平成4年12月伊豆箱根鉄道(株)の協力を得て 熱海市が更に眺望のきくこの場所に移設したものである。
芝生で覆われた広い尾根の向こうには、富士山が雄姿を見せます。 遮るものが何もない広大な景色に圧倒されます。 正面の円筒形の建物は、箱根十国峠ケーブルカーの乗り場になっています。 十国峠登り口から3分で着きます。 熱海駅から十国峠登り口までは、バスで35分ほどで来れます。 1時間に2本から3本程度の便があります。
十国峠碑
十国五島を俯瞰できることから、この峠の名ができました。 天明3年、当時の熱海里長が建てた古い「いしぶみ」です。 熱海をこよなく愛した高山樗牛は有名な「わがそでの記」の中で、 十国峠に登る遊びはことのほか壮快で、北は足柄、南は大島、 東は江ノ島、西は田子の浦まで壮大な眺めたぐふべきものなし・・・ と記してします。
伊豆国加茂群日金山頂
所観望者十国五島
 自子至卯 相模国 武蔵国 安房国 上総国 下総国
 自辰至申 其国所隷之 五箇島 及 遠江国
 自西至亥 駿河国 信濃国 甲斐国
天明三年八月東都林居士諸島出雲光英源清候等應熱海里長渡辺房求之需建之
十国峠 (標高770m)
十国峠からは箱根の山々越しに雄大な富士山が望めます。 十国峠の名の通り、 伊豆・駿河・遠江・甲斐・陸奥・武蔵・上総・下総・安房・相模の十国が望める素晴らしい所です。 振り返ると、左手には相模湾に突き出した真鶴半島や初島、伊豆七島の大島、 正面には伊豆の山々、右手には駿河湾が見渡せます。
十国峠からの眺めを堪能したら、先程の湯河原分岐点まで一旦戻り、 「十国峠日金山ハイキングコース」を降っていきます。 「石仏の道」の広さと比べ、こちらは狭い山道になります。 やがて道は沢沿いを行くようになります。
このコースにも石仏が立ち並んでいます。 こちらのは台座の上に座っているのではなく、石柱の上部に彫ってあります。 番号も石仏の道の「・・町目」とは違い、「・・丁目」になっています。 数字としては1番から42番までと一緒ですが、こちらには「・・半丁」という石仏もあります。
林道を横切り、更に沢沿いの道を降っていきます。 最初は水量も僅かですが次第に増え、流れの音も大きくなってきます。
沢から離れて雑木林の中を進むようになると山道は間もなく終わり、舗装道路にでます。
泉浄水場を過ぎて、さらに舗装道路を降っていきます。 この道にもバス停はありますが、朝方1本、夕方1本という程度の便しかないので、 当てにはせずに通り越していきます。 「泉ヶ丘大聖不動明王入口」の石柱の側にある一丁目の石仏を過ぎて左へ曲がると、 落合橋に着きます。
道の途中で、若いイタドリを見つけました。 子供の頃にはよく食べたものです。 茎を折るとポンと音がするので「たいぽんぽん」と呼んでいました。 皮をむいて塩をちょっとつけて食べると結構いける味です。 懐かしくなって1本採って食べてみました。 普通はもっと大きくなったものを食べるのですが、 10cm程のこの若株は昔のままの味がしました。 スカンポとはまた違った味で、酸っぱくはありません。
落合橋の袂には、日金山道起点の石仏が立っています。 向かいには十国峠日金山ハイキングコースの案内図があります。 静岡県と神奈川県の県境になっている千歳川に架かる落合橋を渡って すぐ左の所に落合橋バス停があります。
落合橋(おちあいばし)バス停
湯河原駅(JR東海道線)まで、湯河原駅行きバスにて10分、 1時間に6本程度の便があります。