芦ノ湖西岸歩道
散策:2003年03月下旬
【低山ハイク】 芦ノ湖西岸歩道
概 要 芦ノ湖の北岸から東岸、南岸にかけては車道が通り、ホテルやレストランが点在していますが、 西岸は開発されておらず、遊歩道が整備されていて、のんびりと歩けます。 岸より一段高い樹林を歩く部分が多いですが、湖岸に出られるところもあって、 水鳥のバードウォッチングも楽しみです。
起 点 箱根町 桃源台バス停
終 点 箱根町 箱根町バス停
ルート 桃源台バス停…湖尻水門…深良水門…真田浜…白浜…箱根やすらぎの森…箱根旧街道…箱根町バス停
所要時間 4時間40分
歩いて... 平坦でとても静かな道で、歩きやすいコースです。 この日はどんよりと曇っていたためか、すれ違うハイカーも少な目でした。 多様な植物相、湖面を行き交う遊覧船、対岸の駒ケ岳の雄姿などを楽しみながら、快適なハイキングができます。 箱根町バス停に着く頃になると、ついに雨が降ってきました。
関連メモ 外輪山周回歩道
コース紹介
桃源台(とうげんだい)バス停
小田原駅(JR東海道線)から、桃源台行きバスにて60分、 1時間に2本程度の便があります。 途中の箱根湯本駅(箱根登山鉄道)からは、 日中には1時間に4本程度の便があります。 箱根登山鉄道で強羅まで行き、そこから箱根登山ケーブルカー(10分)と 箱根ロープウェイ(26分)を乗り継いで桃源台まで来ることもできます。 ケーブルカーは1時間に4本程度(平日は3本程度)、 ロープウェイは1分ほどの間隔で次々に出発しています。
芦ノ湖西岸歩道
この道は、森林浴並木道の名でも親しまれる起伏の少ないハイキングコースで、 桃源台から箱根町まで約4時間です。 深良水門を過ぎる辺りまでは林道ですが車はほとんど通らず、箱根地域で最も静かな散策が楽しめます。 道の山側はよく手入れされたスギなどの人工林、湖水側は見事は天然林です。 植物相は多様で、暖温帯特有の常緑カシ類と冷温帯を代表するブナなどの巨木が 並んで見られる不思議な森があったりします。 春にはヤマザクラやマメザクラなどの花が咲き、さまざまな野鳥のコーラスでひときわ賑やかです。 夏には、道沿いにシシウドなどの野草が咲いて、 チョウなどの昆虫が優雅な舞いを見せてくれます。 秋には、各種のカエデが赤や黄色に色づいて、青空に映えます。 冬は日当たりがよく、雪が降ってもすぐに消え、道下の入り江には寒い西風を避けて、 カモの仲間がたくさん集まります。
バス停の前にある「海賊船・ロープウェイのりば」の建物の中を通って、芦ノ湖へ出ます。 水深が浅いのでしょうか、湖の中まで入って釣りをしている人を何人か見かけました。
自家用船の乗り入れについて
自家用船で出航する場合は必ず次の事項を守って下さい。
・出船届を提出すること(芦之湖漁協事務所 8時30分より受付)
・定員の厳守、法定備品の積載、免許証の携帯
・強風、濃霧の時は出航しないこと
・定期船、営業用ボートのコースに入らないこと
・水上スキーをする船は必ずスキーエリア内で行うこと
 (芦の湖水上安全協会・小田原警察署)
湖畔ふれあい園地を抜け、芦ノ湖キャンプ村を抜けていくと、湖尻水門につきます。
ボート
30分 500円
定員2名
受付は休憩所
釣りは出来ません
 (芦の湖キャンプ村)
湖尻水門
芦ノ湖は、おおよそ3千年昔、箱根の火山活動によって早川がせき止められて出来たといわれています。 江戸時代、この芦ノ湖の水を深良村(現静岡県裾野市)の灌漑用として導水する工事が行なわれ、 寛文10年、深良水路が完成しました。同時に、湖の水位を保つため甲羅伏と呼ばれたり石張り余水吐が早川への 流出口(現在地)に設置されました。この甲羅伏は、高さ5尺のところに横幅5間の排水口を設け、 その上に土俵を3段に積み置き、増水時には水圧で土俵が流され排水口が開く仕組みで水害に備えていました。 やがて、石張り余水吐の破損が進み、昭和27年に甲羅伏に代わり□□□で開閉する10門の水門を 持った旧湖尻水門に改造されました。この水門も35年の歳月とともに老朽化し、昭和62年からは 遠隔操作により自動開閉する近代的な水門に改築する工事に着手し、平成2に新しい湖尻水門が完成しました。 甲羅伏は、時代とともに近代的な水門へと移り変わってきましたが、先人の努力や芦ノ湖の歴史を伝える 意味で、ここに湖尻水門の由来を書き残します。 (一部判読不能)
湖尻水門のそばにある広場からは、芦ノ湖が一望できます。 湖には小舟に乗って釣りをしている人が結構いました。
つり案内
・つりをされる方は事前に遊漁証を購入して下さい
・遊漁期間 3月1日より11月30日迄
・遊漁時間 日の出より日没まで ★夜間のつりは禁止
・3月1日より5月31日まで、岸釣りで、
 仕掛けの長さが竿先から15m以上の餌ぶっ込み釣り浮き釣りは禁止
・3月1日より5月31日まで、三ッ石から亀ヶ崎を結んだ以西は
 ルアーフライエリア、餌釣りは禁止
・その他規則とマナーを守って釣りをお楽しみ下さい
 (芦之湖漁業共同組合)
湖尻水門からは林道を進んでいきます。 両側に笹竹が生い茂り、まるで壁のようになっている道が続きます。 左下の湖面からは、岸に打ち寄せる波の音が時々聞こえてきます。
笹竹の回廊が終わったところに、国有林の立て看板がありました。
緑は友だち国有林
森林は、木材を供給し、国土を守り、水を供給し、 緑豊かな環境づくりをしてくれます。 営林署はみなさんからおあずかりした国有林を 立派な森林に育てるようつとめています。
・貴重な森林を山火事から守りましょう。
・草木を愛しみどりの国土を守りましょう。
 (東京神奈川森林管理署)
国有林の立て看板を過ぎて少し行った辺りで道が湖面に近づき、 岸辺に降りていくことができます。 遊覧船が通っていく度に、波が岸へ打ち寄せてきます。
林道の湖側には雑木林が続いていますが、樹木が途切れて見通しがきく所もあります。
やがて、湖尻峠や三国山へ続く外輪山歩道との分岐があります。 そこに箱根外輪山周廻道路案内板があるので、コースを確認しておきましょう。 ここまでで、まだ1割強ほどしか歩いていません。
深良水門
「森林浴 並木道」の石碑を過ぎると、深良水門があります。 水門からは水が勢いよく流れ出ていました。
徳川四代将軍家綱の時代、小田原藩深良村(現在の静岡県裾野市深良)の 名主大庭源之丞は何としても芦の湖の水を引いて旱害に苦しむ村民を救いたいと考え、 土木事業に経験の深い江戸浅草の商人友野与右衛門に工事を懇願しました。 与右衛門は源之丞の故郷を思う心に感動し工事の元締を引き受け、 湖尻峠にトンネルを掘り抜き深良村以南30ヶ村に湖水を引く大計画を立て、 箱根権現の絶大な支援と庇護に支えられつつ大変な苦労を重ね、 寛文6年、ようやく幕府の許可を得、その年8月トンネル工事に着手したのです。 この難工事も優れた技術によって驚くべき正確さで成し遂げられ、 寛文10年春、長さ1280m余りのトンネルが貫通したのです。 爾来300有余年、灌漑,飲み水,防火用水に、また明治末期からは 発電にも使用されるなどその恩恵は計り知れず、深良用水は地域一帯の発展の基と言えましょう。 この水門は明治43年、木造水門を現在の石造り鉄扉のものに改造されましたが、 この度、現水門を補強すると共に補助水門を新設し、 利便性と安全度の向上を図ったものです。
深良水門を後にして前方の細い山道を少し行くと、水門の手前で別れた林道に出ます。
樹木が切れたところからは、芦ノ湖が見渡せます。 湖面に尾を引くように跡をつけながら、遊覧船が行き交っています。
林道は次第に狭くなり、木橋を渡った辺りから山道へと変ります。
振り返ると、今通ってきた桃源台から湖尻水門にかけての岸辺が見渡せます。
山道とはいってもほどんど起伏はなく、歩きやすい平坦な道が続きます。
再び木橋を渡ります。 この辺りから道が少しずつ広くなってきます。
真田浜
道が湖面に近づき、ちょっと横に行くと岸辺に出ることができます。 湖水の向こうには駒ケ岳がそびえています。
広くなって歩きやすい道が続きます。
入り江と岬が重なり合うように続いています。 「まだ結構あるなぁ」と思いながらも、気を取り直して進んでいきます。
森林と人との共生林(モデル林)
今、この地の森林は、明治以降の先人のたゆまぬ営みにより、 スギ・ヒノキの立派な森林となり、芦ノ湖の背景林となっています。 かって芦ノ湖一帯の広くは、ススキやササが生い茂り、わずかに潅木類を 交えるだけの荒れ果てた原野の風景でした。 林野庁では、ここ芦ノ湖西岸の森林の取り扱いを、豊かな生態系の維持・保存や レクリエーションなどの保健文化等の機能を発揮させるべき「森林と人との共生林」 (公益林)として位置づけています。 今後は、この森林の公益的機能をより発揮させるために、現在のスギ・ヒノキ人工林の 間伐を繰り返しながら、針葉樹と各種広葉樹との混交した森林に誘導します。 この混交する姿が、四季おりおりの彩りと変化をもって芦ノ湖との景観の調和が より豊かになることを、森林施業の目標としています。 広葉樹の拡大により、鳥類や昆虫など野生生物が豊かで多様な世界となることを目指しています。 目標の針広混交林とするためには、長い年月も要しますが、この箇所はそのモデルとなる森林です。
 (関東森林管理局 東京神奈川森林管理署)
再び、湖岸に出られる所があります。 胸まで水に浸かりながら魚釣りをしている人がいました。 かなり大変なのでしょうが、好きでなければできません。 趣味とは「時間とお金をいくら注ぎ込んでも惜しくはない」という ものだそうですが、その通りだと思います。 「これなくして何の人生か」みたいなものなのでしょう。
注意
自然はみんなのもの みんなでたいせつに
折らない、取らない、汚さない!
・自然の動植物はとらない
・野生動物をおどろかさない
・釣り魚、釣り針は捨てない
 (神奈川県)
「森林浴 並木道」の石碑と、「かながわの美林50選 芦ノ湖西岸のスギ・ヒコキ林」の指標を過ぎていきます。 コンクリートの橋を渡ると広い林道に出ます。
白浜
ここ白浜は、芦ノ湖では最も大きな砂浜で各種の魚類が回遊してきます。 芦ノ湖は対岸に見える神山の噴火でできた堰止湖のため、かつてはほとんど魚類は 見られませんでしたが、明治12年から各種の魚が放流されて、今では21種の生息するといわれています。 湖は最も深いところで43.5m、平均25mです。夏期には湖面の水温は27度にもなりますが、 水深10〜15mより深いところは10度以下でしかありません。このため、 温水性の魚類、冷水性の魚類の双方が生息できるのが特徴です。
【冷水性の魚】
  ヒメマス,ニジマス,ヤマメ,ホンマス,アマゴ,ブラウントラウト,ワカサギ等
【温水性の魚】
  コイ,ギンブナ,キンブナ,ウグイ,ブラックバス,オイカワ等
車止めの柵を過ぎ、更に林道を進んで行きます。
一般車両通行止め
1.この林道は国有林の専用林道です。許可のない車両の通行は禁止します。
2.許可なく通行して事故等が発生しても一切の責任は負いません。
3.林道のゲート、鍵、標識類等を故意に破損した場合には罰せられることがあります。
4.通行の許可を受けたいときは、東京神奈川森林管理署又は森林事務所へおたずね下さい。
 (東京神奈川森林管理署)
箱根やすらぎの森
森のふれあい館を中心に、おむすび広場、かえでの広場、ファミリー広場、創作広場、 森の広場、虻田の森、小鳥の広場、展望台などがあり、 その間を、中心園路、観察と冒険の道、森の散歩道が巡っています。 展望台からは、山伏峠、三国山、富士山、長尾峠、乙女峠、芦ノ湖、神山、駒ケ岳、 箱根神社、二子山、元箱根などが見渡せるとのことですが、 樹木に遮られて、展望は今ひとつでした。
箱根旧街道
箱根やすらぎの森を出て車道を少し進んだ先から、箱根旧街道へ入っていきます。 昔ながらの石畳が続き、往時を忍ばせます。
箱根旧街道
所在地 箱根町湯本茶屋〜箱根
江戸幕府は、元和4年(1618)それまでの官道であった湯坂道を廃し、 湯本の三枚橋から須雲川に沿い畑宿を通り、二子山の南側を経て、 箱根に至る山路を広げ世に箱根八里越えと伝えられる小田原から三島に至る 街道を作った。この街道は、寛永12年(1635)、参勤交代の制度ができて、 一層、交通が盛んとなり、そのありさまは、詩歌、物語等にも多く歌われた。 延宝8年(1680)幕府の手により、石畳の工事が完成した。 その後文久3年(1863)、改修工事が行われた。 当時、平均3.6メートルの道幅の中央に約1.8メートル幅に石が敷き詰められていたという。 この地点から箱根峠の間、約500メートルにわたり石畳が現存している。
 (文化庁、箱根町教育委員会)
芦川の石仏・石塔
芦川のはずれ箱根峠にのぼる旧街道の道端には庚申塔、六地蔵など、いくつかの石仏・石塔があります。 江戸時代箱根を越えて、西に東に向かう旅人は、恐らく村はずれにあるこの石仏・石塔に 旅の安全を祈ったことでしょう。
 (箱根町)
箱根町(はこねまち)バス停
小田原駅(JR東海道線)まで、小田原駅行きバスにて60分、 1時間に2本程度の便があります。
途中の箱根湯本駅(箱根登山鉄道)までは、日中には1時間に4本程度の便があります。 この日は雨が降り出したこともあってか道路が渋滞し、小田原駅まで1時間50分もかかりました。