毘古コラム(9)
毘古コラム (散策していて興味を引かれた事などを綴っています)
まりもっこり
バス停で見かけた10cmほどの人形です。
「まりもっこり」という名前のようで、頭部の短い紐輪でネジ頭に掛けられていました。
北海道生まれのマスコットキャラクターで、阿寒湖のマリモをモチーフにしているようですが、
あの部分が「モッコリ」している所から名付けられたようです。
本家の姿形は全体的にもっとずんぐりしているようで、色々なバージョンがあるようです。
これもその中の一つでしょうか、それとも手足がやけに細長いので手作りなのでしょうか。
笑みを浮かべた表情をして、何やら目論んでいるようにも思えました。
小さな別れ
散策路を歩いていると、背後で何やらカサカサと音がするのです。
何だろうと振り向いてみても、それらしいものは見かけません。
変だなと思いながら何度も振り返っていると、どうやら枯れ葉が地面を動く音のようでした。
私に従うかのように、この葉だけが2mほどの間隔を保ちながら後を付いてきます。
訳が分からないものの、何度も足を前に大きく振り上げながら歩いていると、
そのうちに音は聞こえてこなくなりました。
どうやら枯れ葉に付いた蜘蛛の糸が靴に絡まっていたようなのでした。
ほんの短い間の「道行き」でしたが、いざ別れてしまうと何だか淋しく感じました。
惑星誕生
山道の脇に生える杉の大木の根で見かけた直径2cmほどの節穴です。
地面に這うようにして張り出した太くて大きな根に、上を向いて開いていました。
伸びた茎が折れた跡なのか、何かがぶつかって出来た傷跡なのでしょうか。
中に収まっている滑らかな丸い玉のようなものが、今にも飛び出してきそうに見えます。
しばらく眺めていると、木星の大赤斑のことが浮かんできました。
長い間動かずに同じ場所にあるので、あの下には巨大な火山があって、
そこから地球型惑星が飛び出したという説を思い出しました。
惑星がまさに誕生しようとしている瞬間を垣間見たように思えました。
ビストロの酒林
欧風大衆田舎料理専門のビストロの軒下に下がっていました。
縄を球形に編み込んだ直径30cmほどの大きさの玉です。
日本酒の造り酒屋の「酒林」(杉玉)と良く似ていると思いながら眺めていました。
造り酒屋で新酒が出来た時に、酒の神様に感謝を捧げるものであったようですが、
今日では大衆に知らせるために吊るしていることが多いようです。
杉の葉で作った当初は青々としていますが、やがて枯れて茶色くなります。
その変化が新酒の成熟の具合を物語るのだそうです。
この店の玉もかなり色褪せているので、成熟したワインを飲ませて貰えそうです。
肘掛けの守り神
神社の社務所の前に置かれた木製の椅子で見かけました。
X字形に開閉する椅子の肘掛けの先端に彫刻されていました。
神社なので狛犬代わりなのかとも思いましたが、どうもそのようには見えません。
鼻の先が平らになっているので豚のようにも思えますし、
眼の形などをジッと眺めていると、人の顔のようにも見えてきます。
とぼけた表情にも見えますが、降りかかる禍を払い除ける守り神なのでしょうか。
椅子に座って肘をかけて、日頃の諸々を祓い清めてもらいたい気持ちになってきます。
まだ届かない
住宅地の民家の前で見かけた郵便受けです。
木板の節目を人の眼に見立てて、顔を上手く表現してあります。
裏側にドラム缶のようなものが取り付けられていて、そこに郵便物が納る構造のようです。
おでこの辺りにある受け口を、"〒"記号の"="の所に出来れば理想的なのでしょうが、
上下を逆にすることで、鼻と口を上手く表現できているようです。
これで顔を作って郵便受けにしようと思いついた作者の発想力に拍手です。
首を傾げて少し寂しそうな表情をしているようにも見えますが、
届く筈の郵便物を、未だかまだかと気を揉みながら待っているのでしょうか。
歴史の証人
散策していて見かけた石碑です。
十字路の脇の生け垣の下で、傾きながらも石垣の中に埋もれるように佇んでいました。
四角柱の上に四角錐台のような物が乗り、その上に丸い石が置かれています。
側面には何か文字が刻まれていそうでしたが、表面が剥がれていて分かりませんでした。
十字路にあることを思うと、道標のような役目もしていたのでしょうか。
かなり傾いていて、今にも倒れてしまいそうな様子ですが、
石垣が支えになって、何とか倒れずに頑張っているようです。
撤去してしまうには惜しまれる歴史の証人のようにも思えて、しばらく眺めていきました。
森の腰掛け
公園にある森の散策路で見かけた切り株です。
意図的なのか偶然なのかは分かりませんが、
完全に切らない状態で倒されたようで、幹の端が少し残っていました。
丁度、椅子の背もたれのようになっているし、
切り口は平らで高さも適度で、腰掛けるのに具合が良さそうな形をしていました。
切り倒されてから年月が経つのか、周囲には苔が生えていて、いい雰囲気なのです。
座ってみようかとも思いましたが、前日の雨で上面が濡れていたので、止めておきました。
天使の休日
ベンチに腰を掛けて休んでいると、蝶が飛んできて左手の人差し指に留まりました。
蝶が好む甘い香りが指から出ていたのでしょうか。
脚を大きく開いてしっかりとしがみ着き、動かずにじっとしていました。
デジカメを取り出して接写しても、一向に飛び立つ気配がないので、
横から、後から、前からと、何枚も写真を撮り続けました。
やがて心境が変化したのか、そっと飛び去っていきました。
空から天使が舞い降りてきて、しばらく休憩していったように思えて、
何だか嬉しい気持ちになりました。
隠身の術
休憩所のテーブルの上で見かけました。
遠目には干涸らびたものに見えましたが、近づいてみると3cmほどのヤモリでした。
両手・両足を左右に踏ん張ってジッとしていました。
上からだけではなく、前から横からと撮っていても、逃げて行きませんでした。
死んでいるのかと思いながらも、更に近寄って写していると、
急に動き出して逃げてしまいました。
その逃げ足の速いことったらなく、一瞬で視界から消え去りました。
隠身の術で日陰で休んでいたのを邪魔してしまったようでした。
水上の舞
公園にある池で見かけた鳥の羽根です。
10cm程度の長さの羽根が、池に幾つも浮かんでいました。
抜け落ちてから余り時間が経っていないのか、水にはほとんど浸からず、
僅かな風に吹かれて、右・左と水上を滑るように動き回っていました。
各々の羽根は自由に動いているとは云うものの、
スーッと近寄ったり、離れたり、追いかけたりするような華麗な動きを眺めていると、
仲の良い水鳥が踊りを舞っているようにも思えてきました。
緑の絨毯
高台の畑地の縁に置かれた水溜で見かけた浮き草です。
少しの光も無駄にしないようにと、水面全体を覆うようにビッシリと生えていました。
小さな葉ですが肉厚になっていて、水に浮かびやすくなっているようです。
少し段違いになりながら、1ヵ所から葉が3枚出ているものが多いようです。
風に運ばれてきた種子が水溜に落ちて、自然に増えた結果なのでしょうか。
それとも水が汚れないようにするために、わざと栽培しているのでしょうか。
暫く眺めていると、まるで緑の絨毯のように思えてきました。
猛猫注意
住宅地を歩いていて、民家の玄関先の門柱で見かけました。
両側の獅子(シーサー?)に守られるようにして猫の置物がありました。
チョビ髭のようなものも描かれていて、何とも可愛く大人しそうな猫に見えました。
よくある「猛犬注意」と同じようなものにも見えますが、
虐めたりしない限りは人を襲うことは稀なので、「猛猫注意」という訳ではないのでしょう。
首輪も描かれているので、飼い猫がいることを知らせているように思えました。
アレルギー体質や嫌いな人に対する注意喚起なのでしょうか。
柔らかブーツ
住宅の白壁に止まっている大型の蛾の頭部を接写してみました。
夕暮時だったので、明かりを求めてやって来たのでしょうか。
綺麗な模様の羽を一杯に広げていて、すぐ傍まで近寄っても逃げていきません。
太い胴体の先には、髭のような触覚が左右に伸びていました。
前方に伸ばした脚には細毛が生えていて、柔らかなブーツを履いているようにも見えます。
木などに止まる目的なら、鈎爪のような鋭い形の方が良いように思えますが、
これに花粉を付けようという訳でもないだろうし、何故このような形になっているのでしょう。
背くらべ
5月の竹林で見かけた1mほどの高さのタケノコです。
20cmほどの間隔を開けて、2本が寄り添うように並んでいました。
同じ地下茎から芽を出して成長してきた双子の兄弟なのでしょう。
どちらが大きくなったかと背くらべをしているようにも思えてきました。
周辺には地面から頭を出したばかりの弟達も沢山見かけました。
竹は成長するが速いので、この夏にはもう立派な姿になって、林を受け継いでいくのでしょう。
甲羅干し
まだ春浅い日の公園内の池で見かけた亀です。
水面には僅かに届かない杭に乗って、甲羅と頭だけを水の上に出していました。
目の後に赤い筋模様があるので、ミシシッピーアカミミガメ(幼名:ミドリガメ)でしょうか。
日差しを浴びて体温を上げようと、一生懸命に首を上に向けています。
体の大部分は水に浸っているものの、せめて上の部分だけでも温めようというのでしょう。
しばらくこの姿勢のままでいたようで、水面に出ている部分はすっかり乾いていました。
まさに「甲羅干し」と言える姿に、しばらく見入っていたのでした。
タマネギ石
山道で見かけた、幾重にもタマネギの皮をむいたような形をした岩石です。
タマネギ石というのだそうで、丹沢地域によく見られるようです。
似たような形の大小様々な石が周辺に幾つもありました。
凝灰岩類が地表に露出してから、風化作用によって形成されるのだそうで、
粒子の揃った塊状の砂岩質な岩にできやすいとのことです。
中心にある丸い部分は風化の進んでいない核で、タマネギ石には必ずあるようです。
何だか岩から石が生まれ出てくるところのようにも思えて、不思議な感じがします。
希望への道
谷筋に続く道に架かる橋で見かけた小さな蔓性植物です。
春が近づいて、綺麗な模様を描くように、新たな蔓を伸ばしていました。
根が張りやすかったり、水分が多かったり、陽光がよく届いていたりと、
その時々の都合で伸びてきた結果なのでしょうか。
描かれた模様を眺めていると、小さな変化の積み重ねではなくて、
我々には見えないしっかりとした道が通じているように思えてきます。
植物はそれぞれが置かれた環境の中でその道を見つけて、
希望へ導いてくれると信じて辿っているのだと。
檜皮の出迎え
谷戸にある住宅地を歩いていて見かけた郵便受けです。
檜の樹皮を壁材や屋根材に使って、竹の柱で出来ていました。
入り口から見える内部の様子からすると、裏側には扉が付けられていて、
中に入れられた郵便物を取り出せる構造になっているようでした。
前には青い葉を伸ばした植物も植えられていて、本物の小屋のような雰囲気がします。
鉄やプラスチックと違って、生き物で出来たものは何だか暖かみを感じます。
谷戸の奥まで配達に来た郵便屋さんを優しく出迎えてくれるように思えてきました。
健気な留守番
民家の前を流れる水路に架かる小さな石橋の袂で見かけました。
30cmほどの大きさの石で出来たフクロウの像です。
似たような石を探してきて彫って作ったように見えます。
どこまでが自然のままで、どこを彫ったのかはよく分かりませんが、
表情や羽や爪などが上手く表現されていました。
玄関に留まって、家の中に悪いものが入ってこないように監視しているのでしょうか。
それとも、出かけた家人の帰りをじっと待っているのでしょうか。
健気に家の留守番をしているようにも思えてきました。